リリカルなのは SS
リリカル昔話2+童話
1 浦島太郎
昔々、ある所にクロノという漁師がおりました。クロノにはリンディという母とフェイトという妹とその使い魔であるアルフという家族がおり、皆を養うために毎日せっせと漁に出かけます。
ある日、クロノが漁に行くため海岸を歩いているとなにやら子供達が集まって何かを囲んでおります。
見ると、なんとなのはがいじめられているではありませんか。
「スティンガーブレイト・エクスキューションシフト」
クロノが魔法を唱えると、百を越える刃が子供達の周りに降り注ぎました。威嚇なので一本たりとも命中はさせていません。
「君たち、駄目だぞ。なのはをいじめては」
諭すように言うクロノに子供たちはガタブルしながら頷きます。子供たちは何度も頭を下げながらその場から立ち去っていきました。
「ありがとうクロノ君。お礼に翠屋につれていってあげるね」
そう言ってなのははクロノを翠屋に招きました。
「いらっしゃいませー。なのはがお世話になったんだってね」
翠屋につくと桃子が手厚く出迎えてくれ、無料でメニューを振舞ってくれました。クロノはしばし翠屋で時間を過ごしました。
それからしばらくしてフェイトは漁に出ていって帰ってこないクロノの身を案じて彼を探し出しに出かけました。
紆余曲折を得て、フェイトはクロノが翠屋にいることを突き止めます。
そうして、翠屋に辿り着いたフェイトが見たものは。
「いらっしゃいませ。禁煙席と喫煙席、テラスのどちらがよろしいでしょうか?禁煙席ですね。ご案内いたします。ただ今、秋の果物フェアー中です。よろしければご注文下さい。どうぞ、ごゆっくり。はい、そちらのお客様、ご注文はお決まりでしょうか」
すっかり、翠屋の店員が板についたクロノの姿でした。
2 うさぎと月
昔々、あるところにはやてが住んでおりました。
ある日、はやては怪我をしたヴィータを助けてやり、その事に感謝したヴィータははやてに恩返しをしようとします。けれど、何も恩を返すことが出来ませんでした。
ある日、ヴィータははやてに話を切り出します。
「ごめんな、はやて。あたし何も出来なくて」
「ええよ。気にせんで」
「でも、こんなあたしでも出来る事があるんだ」
「ヴィータ…………?」
「はやて」
ヴィータは決心してこう言いました。
「あたしを食べてくれ!」
「ぶー!!」
はやては盛大に噴き出してしまいました。
「あ、あかんよ、ヴィータ!ヴィータみたいな歳の子がそんなこと言っちゃ!それにほら、私女の子やし!なのはちゃんやフェイトちゃんはあっちこっちで百合やっとるけど私ノーマルなつもりやし!!いや、多分どっかではやられてそうやけどあの二人に比べてばずっと少ないはずや!!ちょっと興味があるようなないような、でもおっぱい比べるのは好きやけどってそれは関係なくてともかくそんな事されても喜ばへんからそんな事言ったら駄目やああああああああああああっ!!」
「う、うん」
あまりの剣幕に思わず頷いてしまうヴィータでした。
3 北風と太陽
ある日、フェイトとリンディはクロノに休暇を取らせようとしました。
「クロノ、少しは休まなきゃ駄目だよ」
「いや、これくらいなら大丈夫だ」
フェイトはクロノを説得しますが中々うまくいきません。フェイトはリンディは一体どんな風に休みを取らせるのかと思ってその手段を見る事にしました。
「はい、クロノ。三日前の事件の報告書に今月のスタッフの陳情に来月のスタッフのシフト案作成に武装局員の指導マニュアル作成に講義依頼に食堂の新しいメニューの申請、その他もろもろ明日までにお願いね。そうしたら次の日お休みだから」
「………はい」
まだまだ母には敵わないと思ったフェイトでした。
4 三匹の子豚
昔、あるところになのは、フェイト、はやての三人の魔法少女が住んでいました。
ある時、三人は別々の家で暮らすことを提案し、それぞれ自分の家を作りました。
フェイトは藁の家、はやては木の家、そしてなのはは作るのが大変ですが丈夫なレンガの家を建てる事にしました。
そこにクロノがやってきました。いつもは紳士な彼ですが、彼だって男の子。狼精神を全力全開にして登場です。
クロノはフェイトのところに行くと、その藁の家をスティンガースナイプで吹き飛ばしてしまいました。
「駄目だぞ、フェイト。防御が苦手でももう少し強度を上げないと」
「発言だけはお兄ちゃん!?」
慌てて逃げ出したフェイトははやての木の家に逃げ込みました。
すると、クロノはブレイズキャノンでその木の家を焼き払ってしまいました。
「よ、容赦なさすぎやー!!」
家を失ったフェイトとはやてはなのはの家に逃げ出します。
さすがに防御に定評のあるなのはが作った家です。スティンガースナイプでブレイズキャノンでも壊すことが出来ませんでした。
けれど、安心できません。そこでなのは達は唯一の進入経路である煙突から忍び込まれてもいいように暖炉に鍋一杯の熱湯を仕掛けることにしました。もし、飛び込んできたらクロノスープの出来上がりです。それを想像すると三人はちょっとドキドキです。それを今か今かと三人は待ち続けます。
その時です。突如暖炉から身も凍るような冷気が噴出してきました。その冷気に熱湯は凍りついてしまいます。唖然とする三人の前に暖炉からクロノが姿を現しました。
「にゃ、にゃあ〜!?」
「甘いな、なのは。侵入経路はここしかないんだ。罠があると思うのは当然だろう。だから先手を打って潰させてもらった」
その言葉に三人はすぐさま家から逃げ出そうとします。するとどうでしょう。鍵は開いているはずなのに扉が開きません。
「僕が突入するまでただ時間を潰していたと思ったか?結界を張って退路を断たせてもらった」
「そ、そんなっ!?」
「防御に過信し、攻撃を疎かにし、迂闊にも敵の様子を窺わなかった君達のミスだ。まあ、そんなわけで」
クロノはパンと手を合わし。
「いただきます」
こうして三人の魔法少女はクロノに美味しく食べられてしまいました、まる
5 続・三人の魔法少女
昔、あるところになのは、フェイト、はやての三人の魔法少女が住んでいました。
三人は美味しく食べられてしまった失敗を生かそうと相談することにしました。
「やっぱり、守ってばっかりだと守れないね」
「うん、こっちからも攻撃が出来るようにしないと」
「後は事前に対策が出来るように敵の動きを察知せんと………」
それからしばらくしてそこにユーノがやってきました。元々淫獣よばわりですが、彼だって男の子。開き直って淫獣精神全力全開です。
全力全開、だったのですが。
「なに、あれ」
そこにあったのは家などではなく、言うなれば鉄の要塞。しかしそれにしては建物と言うより船のようで、ってぶっちゃければアースラがありました。
『敵影、捕捉!なのはちゃん、弾幕よろしく!フェイトちゃんは遊撃!はやてちゃん、二人の支援宜しくね!その間にこっちはアンカンシェルのチャージしておくから!』
「「「はいっ!」」」
「う、うわあああああっ!?」
アースラの探査能力で敵の接近を察知し、防御フィールドで並の攻撃ならあっさりと防ぎ、戦闘準備を終えた三人は撃って出て敵を迎え撃つ。極めつけはアルカンシェルという桁外れな攻撃能力まで有しています。正に難攻不落。もしクロノがやってきたとしても絶対に返り討ちにすることが出来るでしょう。
「「「さあ、クロノ(君)!いつでも来て(来るんや)!」」」
その頃、クロノはと言うと。
「ねえ、母さん。どうして今日は家に来たらすぐにお風呂に入れって言ったの?」
「それはね、アリシア頭巾。君を美味しく食べるためさ」
別のところで狼やっていたとか。