リリカルなのは SS

                銀河天使の4コマ風味添え

 ピンポンパンポーン

 蛇足とは思うが言っておかないといけないと思う前書き

 話の都合により、十四歳シリーズのクロノ達でお話を展開させていただきます。また、話の内容にはなんの説明も無くなんの伏線も無く今までとこれからの話とはなんら関わりがないので深読みせずに読む事をお勧めします。
 それではどうぞ、お読みください。












 1 シグナムとヴィータの中身が、入れ替わりました

「こんなでけーもんぶら下げて動けるなんて、シグナムはやっぱおっぱい星のおっぱい魔人なんだな」

 ヴィータ(シグナム体)が胸をタプタプしながら言う。

「こんなに視界が低く見えるとはな。さぞ、首が疲れるだろう」

 シグナム(ヴィータ体)が辺りを見上げながら言う。

「………」
「………」

 必然のように、爆音が鳴り響いた。







 2 アリサとすずかの中身が、入れ替わりました

「むむ……?また膨らんできてるわねすずか」

 不機嫌そうに半目になってアリサ(すずか体)が胸をモミモミしながら言う。

「ア、 アリサちゃん、何してるのっ」

 顔を赤らめて恥じかしげに慌ててそれを押さえるすずか(アリサ体)。

「なんだか凄い違和感があるけような、そうとも言い切れないような………」
「二人って足して二で割ったら、丁度いい感じになりそうやな」
「そこ!何好き勝手に言ってくれてるのよ!」
「相性がいいってことかな?」

 自身ありげなすずか(アリサ精神)と天然ボケなアリサ(すずか精神)を見て、気のせいじゃないと思うなのはとはやてだった。






 3 はやてとリィンの中身が、入れ替わりました。

「クロノさーん!!」

 クロノの腰に突撃するリィン(はやて体)。

「ぐはっ!………か、身体が大きいから衝撃も強いな。ところではやては………っておい!なに、人の服の中に潜り込んでいる!?あ、くそ!背中に回られた!手が届かないところでちょこまかと!服を脱いで振り落とすしかないか!」

 バッ、と服を脱ぎ捨てて上半身裸になるクロノ。

「こらー!!リィンちゃんに何しくさってくれてるのー!!」

 そこをたまたま通りがかって勘違いしたエイミィにクロノは飛び蹴りをかまされる。

「ぎゅう!?」

 なお、倒れた拍子にクロノの背に張り付いていたはやて(リィン体)が押しつぶされたが、それは自業自得という奴である。






 4 なのはとフェイトの中身が、入れ替わりました

「えーっと、フェイトちゃんの身体だからクロノ君ってお兄ちゃん?」
「でも、なのはの身体でもクロノは私のお兄ちゃんだから………」
「何をしてるんだ、二人とも」

 そこにのこのことやってくるクロノ。

「「お兄ちゃん」」
「…………………………ッ!!?!?!!?」

 クロノ轟沈。







 5 クロノとユーノの中身が、入れ替わりました。

「…………」

 何かを確かめるように手足を曲げたり伸ばしたりするクロノ(ユーノ体)。

「何してるのさ?」

 それを訝しげに眺めるユーノ(クロノ体)。

「いや…………」

 クロノ(ユーノ体)は心底意外そうな顔と声でこう言った。

「本当にこっちの姿は変身魔法を使った姿ではなかったのだな、と」
「今更それを言うかあああああああああああ!!」








 6 リーゼアリアとリーゼロッテの中身が、入れ替わりました。

「やあ、クロノ」
「やっほー、クロスケー」
「あ、あんまり変わってねええええええええええっ!?」








 第二幕 もしもクロノが○○と結婚したら

 1 ヴィータと結婚しました

「う〜……おはよー………クロノ」
「ああ、もう朝弱いんだから夜更かしするなと何度も言っているだろう。ほら、顔を洗って歯磨きして寝癖を直して。そしたら朝食だぞ。ああ、こら寄りかかって二度寝するんじゃない!はあ、しょうがない。いつも通り僕がやってやるしかないのか…………」

 ずるずるとヴィータを引きずり、洗面所に向かうクロノ。

「…………いつもの事ながら」
「あれは夫婦というより」
「親と子、だな」

 それを眺めていた守護騎士達は感慨深そうにそう言った。







 2 シャマルと結婚しました

「…………」
「どうしたんだ、シャマル」

 もの寂しげなシャマルにクロノが声をかける。

「クロノさん、女の子に好かれていましたよね」
「いや、そんなつもりはないが」
「だから私、クロノさんと結婚した時」

 クロノの否定を流して、シャマルが悩ましげにため息をつきながら言う。

「昼ドラみたいになるなー、って期待してたんですよね〜………」
「君は僕に何を求めているんだ!?」








 3 シグナムと結婚しました

「くっ!」

 町を襲撃した魔導師達と戦っていたが、町を守りつつの戦いにクロノが絶体絶命の窮地に追い込まれる。

「今だ!やっちまえ!!」

 好機とばかりに切り込んでくる魔導師たち。

『Schlangebeiβen!』

 それを連結刃が遮った。それに巻き込まれ十に近い人数の魔導師が地に落ちる。
クロノを含めた全ての人間が頭上を見上げる。

「貴様ら」

 そこには烈火の将。

「我が夫に手を出してただで済むと思うなあああああああっ!」

 もとい、烈火の妻シグナムがいた。

「相変わらず男らしいね、シグナム」
「でもって、あとで恥ずかしがって赤くなるんだから世話ないよねぇ」

 その戦いぶりを遅れてやってきた好敵手の執務官とその使い魔が呆れたように眺めた。







 4 リィンと結婚しました

「ふふふ………今更ながら恐ろしい男だね。クロノ」
「なんだ、ユーノ。祝いの言葉もかけずに不気味な笑いをして」
「リィンは今は子供。だけど、先代の事を考えれば十分に成熟する可能性がある。つまり、今の状態で趣味を満たして熟年になった時には自分好みの熟した果実を食べるわけだね!いつからそんなに日本文化に傾倒するようになったこの光源氏やろおおおおおおおおおおおおっ!!」
「リィン、やってしまおう。夫婦で共同作業だ」
「はいです!」






 5 アリサと結婚しました

「はいはーい、何クロノ?え、また仕事で帰れない?あのね、その言葉はもう聞き飽きたわ。いっつも仕事仕事で。そりゃ、責任ある立場だし色々と忙しいのはわかってるわよ。でも、そんなに仕事ばっかりで帰りを待ってる私の事考えたことある?ないでしょ。どうせクロノは私より仕事の方が大切なのね。………きゃ!?ちょ、ちょっとそんなに大きな声で叫ばないでよ!し、しかも『そんな事はない!片時たりとも君の事を忘れた事はない!何よりも君が大切だ!』だなんて。べ、べべべ別にそんな事、いわ、言われても嬉しくないわよ!そ、それに何よ、そのざわついたような声は!?え、スタッフの声?…………ちょっと、今アンタどこにいるのよ、ってブリッジ!?しかも現在運行中!?ば、馬鹿ぁ!何、恥ずかしいこと人前で叫んでるのよ!?そ、そういうのはもっとムードがある時に私だけの前で優しく言って欲しい、って何言ってるのよ私はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?ハァ、ハァ、ハァッ…………ああ、もういいわ。うん、許してあげる。いいえ、私のほうこそごめんなさい。我侭言って。いい女なら黙って待つものよね。うん。お仕事頑張って。………でも、出来るだけ早く帰ってきてね」

 アリサは受話器にキスをすると電話を切った。






 6 すずかと結婚しました

 クロノはすずかと子猫達の世話をしていた。

「しかしまあ、増えたものだなぁ」
「家族が増えていいです」

 ただでさえ、猫用の部屋を用意するだけの猫がいる上そこから子供が一回の出産で何匹も生まれるのだ。気をつけないとうっかり踏んでしまいそうなほどの子猫たちがその部屋にはいた。
 その子猫たちに囲まれ和むクロノの隣ですずかが遠くを見るように言う。

「私達もこのくらいの子供達に囲まれて暮らしたいですね」
「待て、その発言の意図は?」
「え?何がですか?」

 きょとんと首を傾げるすずか。

(これはあれか?誘っているのか?いや、待てクロノ・ハラオウン。いくら夫婦とは言え彼女はまだ十四歳だ。いくらなんでもそれは倫理に反する。ってあれ?倫理を持ち出すならなんで僕は彼女と結婚してるんだ?もう倫理も何も無いじゃないか。しかししかし!最後の一線というものも存在し)

 一人、苦悩するクロノの隣ですずかは猫を抱き上げて微笑んでいた。







 7 はやてと結婚しました

 同じベッドに寝ていて先に起きたクロノがはやてを起こす。

「ほら、起きるんだはやて」
「ん…………おはよ、クロノ君」
「ああ、おはよう」

 そう言って上体を起こしたはやては物欲しそうにクロノを見上げる。それにクロノは呆れ顔で言う。

「また、か?」
「うん、やっぱやってもらわへんと一日の活力が足りなくなるわ」

 やれやれ、と言いながらクロノがはやての膝に腕を入れて抱かかえる。お姫様抱っこという奴である。

「それじゃキッチンにレッツゴーや♪」
「はいはい」






 そして、朝食時。

「しかし、いつ見ても器用なものですね」
「ああ、僕も抱っこされながら食事をする妻を持つとは思わなかった」
「いまや、クロノ君はシグナムとシャマルを超える抱っこマイスターになったんや」
「そんな激しく微妙な称号はいらない」
「なら、やっぱ夜天の夫?」
「………それも恥ずかしい」

 いつも通り八神家の朝食は賑やかだった。







 8 フェイトと結婚しました

 出勤時。

「あ、クロノ。襟が立ってるよ?」
「フェイト。服に糸くずがついているぞ」

 お互いに身だしなみを整えあう二人。

 勤務時(午前)。

「今度行く次元世界は水が多い世界だ」
「水………。今年も海に行きたいね」
「そうだな。出来れば温泉にも浸かってゆっくりしたいところだ」
「のどかな所がいいね」
「そうだな、今度探してみよう。見つかったら今度の休暇は二人で旅行だ。………っと、勤務中だったな。その話はまたあとで」
「うん」

 昼休み

「はい、クロノ」
「………前も言ったが食堂があるんだから無理に作ってこなくてもいいんだぞ?」
「無理なんかしてないよ。それとも、クロノ。作ってきたら迷惑かな?」
「…………そんな事はないさ。せっかく作ってくれているのに失礼だったな。ありがたく頂くよ」

 勤務時(午後)

「今晩の夕食なんにしようか?」
「君が作るならなんだっていいさ。フェイトは何が作りたい?」
「………私が作りたいのはクロノの好きなもの」
「それは困ったな。僕が好きなのはフェイトが作ったものなんだ」

 退勤時

「それじゃ、皆。あとはよろしく頼む」
「お先に失礼します」

 そう言って二人はブリッジを後にして、自宅へと向かった。

「…………………」

 一瞬の静寂。それは何かが爆発する一瞬前のようで。

「「「「「だあああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」」」」」

 その一瞬後、ブリッジが狂騒とする。

「何あれ!?なんなの!?毎度毎度!!嫌がらせか!?嫌がらせなのか!?出会ってから結婚前までからかい続けたことへの嫌がらせなのかあああああああああああああ!?」
「なんで毎日あんなにピンク色なんだよ!!甘ったるくてやってられません!!この間医者に糖分取りすぎって言われたけど、取りたくて取ってんじゃねえよ!!むしろ取ってねえぇぇぇぇぇぇ!!」
「世の中間違ってる!!顔も頭もよくて嫁さんまで可愛いなんて艦長はどこの異次元の存在なんだ!!っていうか義妹だぜ義妹!?ドリームだよ。アンタ、ドリームだよ艦長!!!!」

 ブリッジだけではない。とち狂ったようないくつもの叫びがアースラ内に木霊する。
その毎度毎度の狂宴をクロノとフェイトは知らない。






 9 なのはと結婚しました

「なのは教導官。また施設の破損に怪我人を出したそうだな」
「申し訳ありません………」
「確かに君の訓練は効果的で実績も上がっている。しかし、もう少しどうにかならないのか。人事部やら経理やら医療班やらから文句を言われる僕の立場にもなってくれ。この間なんか君に結界は破壊され続けた結界師がノイローゼで倒れたそうだぞ」
「す、すいません………」

 その様子をこっそり覗いていた候補生達が顔を青ざめる。

「うわぁ〜………、また絞られてるよなのは教官…………」
「なのは教官をあんな風に叱れるのハラオウン提督くらいなもんだぜ………」
「鬼教官の上を行く鬼提督、か」
「でもあれで夫婦なんだろ、あの二人」
「どんな寒い夫婦生活なのか想像つかないぜ………」
「考えただけでも背筋が凍りそう………」

 その後、なのはへの説教は一時間近くにも及んだ。







 帰宅後。

「…………」

 なのははクロノに背を向けて膝を抱えている。

「あー………、その、なんだ」
「…………」
「いや、確かに言い過ぎたと思う。いや、言い過ぎた。ごめん。しかし、そのだな。毎回言っているとは思うがああしないと規律が乱れてだな、僕としても不本意ながらああ言わなければならない立場であってそうしないと回りに示しがつかなくてでな。伴侶だからって贔屓する様じゃ提督として間違っているし、いけない事なわけで。ええと、そのつまり僕が何が言いたいかというとともかく僕が悪かったので機嫌を直してもらえると助かります。どうかお願いします。すいません、すいません」

 仕事の時とは打って変わって、腰を低くするクロノ。なのはは頭を下げるクロノに振り向くとこっちに近づいてきた。

「クロノ君。顔上げて」
「………」
「ちょっとの間、目を瞑ってて」
「………」

 言われるがままに目を瞑るクロノ。

(これは平手で叩かれるかな)

 そう思った瞬間、なのはがぎゅっと全身をクロノに埋め込めるように強く抱きついた。

「なのは?」
「私怒ってないよ」
「そう、なのか?」
「またクロノ君に迷惑かけちゃった、って落ち込んでただけだよ」
「………」
「ごめんね、クロノ君」
「………いや、僕こそすまない。そんなこともわからずに謝って」

そこでなのははちょっと意地悪な顔で笑う。

「でも、やっぱりちょっと傷ついたかな?」
「………う」
「だから甘えさせて?」
「……いくらでも」
「じゃ、ぎゅっとして?」

 言われた通り、ぎゅっとしてやる。

「ん〜…………」

 太陽をたっぷりと浴びた布団で眠るような心地で顔を緩めるなのは。顔を埋めてクロノの匂いをたっぷりと感じる。

「……満足?」
「もっと〜…………」

 物足りなそうに顔をすりすりする。その頭を軽く撫でながらしばらくそのままでいる。

「足りた?」
「まだちょっと足りない〜………」
「なら、後はどうすれば?」

 尋ねられたなのはは顔を赤らめて、それでもはにかみながらはっきりと言った。

「えっと。今夜は一緒に寝て欲しいな」







 10 エイミィと結婚『する時』

「あー、気が付いたら三十路手前になっちゃったー。もう適齢期も逃しちゃったし。これもクロノ君が世話がかかるせいだー。というわけでクロノ君責任とってあたしをお嫁に貰ってー」
「いいけど」

 エイミィルート、完。
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