リリカルなのは SS
LYRICAL M@STER

 これは、リリカルの頂点を目指す少女達のサクセスストーリー……。






 僕の名はクロノ=ハラオウン。時空管理局プロダクションに所属するプロデューサーだ。

「おっはよー、クロノ君」

 彼女はエイミィ=リミエッタ。この会社の受付嬢をしている。彼女は優秀な受付嬢で出社したら彼女の挨拶を受けるのが僕の仕事の始まりを告げていると言っても過言では無い。が、彼女はサウンドステージで歌っていないので、どこかの受付嬢のように歌う事はない。

「って、なんだとう!?この美声を学園祭で売ってる焼きそばの客引きに使うようなそんな行為が許されていいと思ってるのか!?あれよ、いざとなったらめがっさとかにょろーんとか言うのも辞さないけど私!?」

 相変わらず飛ばしている彼女の声を適当に流して会社に入る。さて、彼女達はもう来ているかな?

「あ、クロノ。サウンドステージで歌っていれば曲持ち扱いになるって事は僕も………」
「帰れ、盗撮記者」

 我が物顔で会社のソファーに座っていた淫獣をバインドで絡めてから窓から落とす。下には番犬のザフィーラが控えているからあとで拾って捨ててきてくれるだろう。
 あ、ちなみに今のは淫獣。ステージ上のリリカル達の盗撮写真を撮るのが仕事で随分前から目を付けられてしまっている。ああいうのからリリカルを守るのも僕の仕事だ。頭の痛い限りであるが。

「おはよー、クロノ君」
「クロノ、おはよう」
「おはようさん、クロノくん」

 そんな事をしているうちに彼女達がやってきた。高町なのは、フェイト=T=ハラオウン、八神はやて。彼女達が僕がプロデュースしている『リリカルヒロインズ』だ。いつかの運動会の時と同じ名前だが気にしないで欲しい。わかりやすさというのは大切なのだ。
 さて、僕の方も挨拶を返さないといけないのだが……。

「君達………。いつも言っているが会社ではプロデューサーと呼ぶようにと言っているだろう」

 僕の挨拶はいっつもこれだ。同じ事の繰り返しで芸が無いと思わないでもないが、何度言っても聞かないのでしょうがない。

「でも、クロノ君のこと、プロデューサーって呼びにくいよね」
「そうだよね。私もそう思う」
「クロノくんやもんなぁ」
「「「ねー」」」

 それとこの挨拶で返すと彼女達は妙な連帯感を発揮してテンションが上がるのでそれならそれでいいか、と思ってしまっている。

「うんうん、仲良き事はいい事ねー」
「あ、おはようございます、社長。」

 にこやかな笑顔と共に現われたのはこのプロダクションの社長で僕とフェイトの母親であるリンディ=ハラオウン。執務官を目指していた僕を『ティンときちゃった』とかいう理由でこの道に引きずり込んだ張本人である。

「それじゃいつもの未来を掴むための流行情報よ」

 流行イメージ
 1st 近接 2nd 射撃 3rd 砲撃

 リリカルヒロインズ
 ユニットイメージ Lv 11 熱血バトルリリカル
 ランクアップオーディション
 無印 A's 砲撃マスター

「……いっつも思うんですが、歌うのが仕事のリリカルの流行がなんで砲撃とか射撃とかなんですか……?」
「そうじゃないと、リリカルっぽくないでしょ?」

 答えになっているようななっていないような答えに首を捻りつつ、僕は三人の方に向き直る。

「よし、それじゃ今日も頑張って仕事をするぞ!」
「はーい!」






 1 高町なのは PV撮影

 今日は新曲のプロモーション撮影のために草原に来ている。撮影は今のところ順調に進んでおり、今は小休止の最中だ。

「クロノ君、どうだったかな」

 さっきまでカメラの前で草原で佇んだり子狐と駆けたりしていたなのはも僕のところに来て休憩中だ。

「ああ、問題ない。これならいい映像が出来そうだ」
「ほんと?」
「嘘を言う必要が何処にある?」
「えっと、自信を持たせるためにとか」
「……案外信用が無いな、僕も」

 そんな事を話しつつ、ぐっと身体を伸ばす。草原を凪ぐ風が心地よかった。隣にいるなのはも撮影衣装の白い服の裾を押さえながら風の吹いた方を眺めた。

「それにしてもここ、いい所だねー」
「ああ、何か懐かしい気持ちになるよ」

 その懐かしさがなんなのかを探すように少し斜面を下ってみる。

「あ、待ってよクロノ……きゃっ!?」
「なのは!?」

 振り向くとなのはが斜面に足を滑らせたのか、倒れそうになっているなのはの姿が飛び込んできた。

(まずい、転びでもして怪我をしたら撮影が中止になる!それに衣装は白だから汚れがついたりでもしたら嫌でも目立つ!!)

 どこかを掴んで彼女を受け止めなければ─────────!!





 π(抽象的表現)

「え、えええ!?ク、クロノ君!?」
「す、すまない!とっさに手を出したら思わず!?」

 い、いくらなんでもそれはないだろう自分!?

「と、とっさにってな、なんで、む、むむむ、むむむむむ」
「いやほら、出てるから掴みやすかったのではと思わないでもないような!?」
「え…………?」

 って、何を言っているんだ僕はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?

「そ、そうなんだ。で、出てるならしょうがないよね」
「へ………?ああ、うん、そう思ってくれると助かる」
「う、うん。あ、あの、それと転ばないようにしてくれてありがとうね……」

 そう言ってなのはは『そっか、出てるって思ってくれてるんだ……』とかブツブツ呟きながら歩いていってしまった。

「………とりあえず、よかった、のか?」

 パーフェクトコミュニケーション!!





 2 フェイト=T=ハラオウン 事務所

「フェイト、何をしているんだ?」

 僕が営業先から帰ってくるとフェイトが机に座って、紙の束と格闘していた。かなりの量だが、一体なんの書類だろうか?

「あ、クロノ。おかえりなさい。お仕事、お疲れ様」
「いや、大した事はなかったが………。それより、それは」
「うん、私達宛のファンレター。たくさん届いてたから整理しようと思って」
「そういうのは僕の仕事だぞ」
「でも私達に送ってくれた物だから、自分の手で触れてみたいんだ」
「……まぁ、何にせよ整理する必要はあるな」

 フェイトの隣に座って選別の手伝いをする。結構な量だったが、二人でやったらそれなりに早く仕分けることが出来た。

「これは、なのは。これははやて。これもはやて。これとこれはフェイト。これは三人宛と。まぁ、こんな所か」
「クロノ。見ていいかな?」
「君宛のファンレターだ。いいに決まっているだろう」

 フェイトが視線を落として手紙を見る。一枚一枚を宝物のように大切に取ってじっくりと読んでから次の一枚を同じ手つきで取っていく。

「…………」

 恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑みを浮かべるフェイト。その僅かに上気した頬と共に僕は彼女が手にした成果を噛み締める様を眺める。こういうふとした事に自分の仕事を実感する時もある。

「………?」

 と、急にフェイトの表情が曇る。眉を八の字にしてなんだか困ったような顔をする。

「ねぇ、クロノ」
「なんだ、フェイト」
「この手紙に『フェイトたん、いぢめたい』って書いてあるけどどういう事かな?」

 ズガスッ!!と頬杖ついていた顎がずり落ちて机と思いっきり激突する。

「ク、クロノ!?大丈夫!?」
「〜〜〜っ。そ、それよりなんだそれは!?」
「えっと、この手紙」

 フェイトが差し出した手紙をひったくるように取る。その手紙には確かにそんなような文面が書いてあった。

「それに他の手紙にもそんなような事が書いてあるのがあるんだけど………」

 その言葉に僕は自分の迂闊さを呪う。
 リリカルという職業上、多くの人の前に立ち、その分だけその存在が知られるようになる。それだけにファンレターもその数だけ多種多様なものが送られてくる。
 その中には、今の手紙のような妄言極まりない物を送ってくる輩もいる。だから僕が手紙を選別するのはそういった手紙が彼女達の目に入らないように予め弾いておくためでもあるのだ。
 だと言うのに選別前の手紙に触れさせてしまうなんて………!!

「フェイト。気にするな。そういう人達もいるだけだ」
「そういう人って。私をいぢめたい人?」
「………えーと」
「…………嫌われてるのかな、私」

 ああ、フェイトが自虐のネガティブモードに!!

「ち、違うぞ!これはフェイトの困った仕草が可愛いと言う意味なんだ!!」
「……そうなの?」
「そうそう。気になる子ほど構いたくなると言う小学生の心を持ち続けている純真な人たちなんだ。うん、そうに違いない」
「……うん、クロノがそう言うならそうなんだよね」

 ………非常に心が痛むが、こういう嘘をつくのもプロデューサーの仕事なのだ。そう、プロデューサーは夢を見させる仕事なのだ。

「なら、私困った仕草の練習をしないと」
「え?」
「クロノ。困った仕草の練習ってどうするのかな?」

 ………何か、ネガティブから引っ張り上げたら変な方向へ進んでしまったらしい。

「それは………、実際に困ってみる事じゃないかなぁ………」
「そっか。なら、クロノ。私を困らせて」
「と、言われてもどうしたものか………」
「お願い」

 こ、こういう時はどうすれば………!?





 π(記号的表現)

「ク、ククク、クロノ!?」
「う、うわ、すまない、思考回路が行き詰って思わず!?」
「でも、あの、その、あのっ!」

 真っ赤になってオロオロするフェイト。目をあっちこっちにきょろきょろしたり手をもじもじさせたりする様はどこか小動物を連想させる。

「………可愛い」

 そんな事を考えてたら思わずそんな事を呟いていた。

「え?」
「あ、いや、そのだ。手紙を送った人はこういう仕草を見たいのではないかなと熟考してみたりするわけなのだが」
「そ、そうなんだ」
「でも、人前でこんな事をする訳にはいかないからこの方向は無しにしよう。うん、プロデューサー命令で」
「う、うん」

 無理やり畳み掛けてなんとかフェイトを納得させる。我ながら無茶をしたものである。
 と思っているとフェイトがなんだかじっと僕の方を見つめている。

「あの、クロノ」
「な、なんだ?」
「ひ、人前じゃ駄目だけどクロノの前だったらいいのかな?」
「…………え?」
「な、なんでもない!」

 そう言ってピュ────、と風のように去っていくフェイト。

「…………」

 後には問題のファンレターを持った僕が間の抜けた顔で立ち尽くすのみだった。

 パーフェクトコミュニケーション!!






 3 八神はやて CDショップ

 今日は新曲の発売日。売れ行きが気になったので近くのCDショップに寄ってみたのだが。

「あれは………?」

 変装のつもりだろう。大きな帽子を被っていてわかりづらいが、あの横顔は間違いなくはやてだった。

「まぁ、僕以上に売れ行きが気になるところなんだろうが………。こら、はやて」
「わひゃ!?………なんや、クロノ君か。驚かせんといて」
「なんや、じゃない。あんまり一人で出歩くなと言っているだろう」

 彼女の事を知っている自宅近辺のスーパーとかならともかく、ここはCDショップ。リリカルヒロインズの一人である彼女を連想させる要素が揃ってしまっている。見つかったら大騒ぎだ。

「大丈夫大丈夫。そのための変装やから」
「僕には一瞬で見抜かれていたぞ」
「それはほら、リリカルとプロデューサーの信頼関係って奴や」

 そんな事を話していると、新譜のコーナーを眺めていた客がリリカルヒロインズのCDを手にとってレジに行くのが見えた。

「一名様、お買い上げやね」
「ああ」

 人前なのではしゃぐ事は出来ないので、軽く手を合わせて喜びを分かち合う。

「……………」

 と、視線を戻すと先ほどCDを買った客がじっとこちらを凝視している事に気がついた。
 まずい、と思ったときには時既に遅し。

「ああああ─────っ!?八神はやてだ!!!」

 その一言に店内の視線が一斉にこちらに向けられる。

「え?まじまじ?どこどこ?」
「あ、あれじゃない?」
「うわ、ほんとだっ」
「かわいいー!」
「握手してくださいー!」
「サインしてくださいー!」
「付き合ってくれー!!」

 瞬く間に店内は大混乱。人波が怒涛のように押し寄せてくる。

「わ、わわわ。ど、どないしよっ!?」
「どうするもこうするも逃げるぞ!!ここにいたってもみくちゃにされるだけだ!!」
「あ、えっと、ど、どこから!?」

 突然の事態にはやては軽くパニック状態だ。咄嗟の判断で行動が出来ない状態になっている。
 ええい、こうなったらどこかを引っ掴んででもここから逃げ出さないと───────────!!





 π(婉曲的表現)

「ふう、ここまで来れば大丈夫か」

 CDショップから脱出して人目がない所まで来た所で一息つく。

「あ、あの、クロノ君…………?」

 そこではやてが搾り出したような声をかけてくる。何故だか知らないが耳もうなじも真っ赤になっている。この分だと顔は真っ赤になっていることだろう。
 そこで気がつく。うなじが覗き込めるこの体勢。
 ………思いっきり後ろから抱きかかえて、しかも思いっきり掴んでしまっている───────────!?

「うおおっ!?す、すまない!!」

 慌てて飛び退るようにはやてから離れる。

「っ!?」

 が、後ろは壁だったので思いっきり後頭部を激突させてしまう。

「〜〜〜〜〜っ」

 後ろ頭を抱えて蹲る。痛みのあまりに転げ回りたくなった。

「……ぷ」

 その様にはやてが口元を押さえる。やがて堪えきれなくなったようにくすくすと笑い出すはやてに僕は唖然とする。

「ええってええって。クロノ君も悪気があったわけやないし」
「いや、それは間違いないが………」
「おかげでクロノ君のおかしな所見られたし」
「なっ」
「これをネタにしばらく遊べるなぁ」
「ぐ…………」

 押し黙る僕をおかしそうに見るはやて。と、急に笑いを収めると先ほどのように顔を赤くさせてこちらを見る。

「あの、クロノ君………」
「な、なんだ?」
「また同じ事があったら、同じように連れ出してくれる?」
「お、同じようって、思いっきり鷲掴みし」
「そそそ、そこは無しで!!」

 飛び羽ばたかんばかりに両手をワタワタさせるはやて。そのはやてに僕は視線を逸らして『まぁ、お望みならば』と答えるのだった。

 パーフェクトコミュニケーション!!





 4 オーディション

「今日はオーディションだ!今を変えて、未来を掴んで見せるぞ!!」

 控え室で三人と打ち合わせをする。そうしていると審査員が控え室に入ってきた。

「やっほー、皆集まってるー?審査員の桃子さんよー♪」
「審査員のレティよ。お手並み拝見といきましょうか」
「ギル=グレアムだ。よろしく頼む」

 最早見慣れたといっていい、いつもの審査員。これがたまにメイドやら元ボディーガードのマスターや双子猫だったりするが、大体いつもこの三人が審査をしている。

「う〜ん、それじゃ一番のリリカルヒロインズ!皆を代表して言う事は無いかしら?」

 審査前のお決まりの問い。それに対して僕達が返す言葉はいつも決まっている。

「「「全力全開です!!!」」」

 その言葉に桃子さんは満足そうに頷いた。

「よーし、本番でも期待しているわよ。それじゃ、会場まで走っていきましょうー!」

 そうして、会場に辿りつきオーディション開始まであと僅か。ここまで来ると僕が出来る事は応援する事だけだ。

「三人とも!頑張って未来を掴むんだ!!」
「「「はい!」」」






「あら、六番の子、可愛いわねー」
「三番のダンスがいいわね。狭い仕事場でも小回りが効きそう」
「四番のボーカル、キタな」

 今回のオーディションは強敵ぞろいだった。三人の間隙を突くかのようなアピールで審査員の興味を引き、三人への視線を逸らされてしまっている。加えて、今の流行は近接。割合で言えば後方での砲撃役の方が多い三人のため、そこでのポイントを稼げないまま第三審査まで来てしまった。
 このままでは、落選は確実。それがわかっているため、三人の顔には焦りが隠しきれていない。その顔がまた、評価を下げてしまうとわかっていながらも、抑える事の出来ない程彼女達は追い詰められていた。

「二人とも、大丈夫……?」
「わ、私は何とか。それよりはやてちゃんが………」
「こ、これでも病弱少女やったから、ちょっとしんどいわ……」

 審査の合間で交わされる会話も互いの不安を確認しているかのようで、自分の不安がさらに大きくなっていくのがわかる。

 ───────────どうしよう。

 その重圧から逃れるように、救いを求めるように、三人が僕の方を見る。

(何をしているんだ、君達は!)

 そんな彼女達を叱咤するように僕は厳しく彼女達を見る。

(君達が頂点を目指して進んできた道は、こんな事で挫けるほど平坦な道ではなかった筈だ!!)

 そう、そんな時こそ思い出すんだ。
 僕達が進んできた道を。
 共に苦楽を共にし、困難に立ち向かい、試練を越えてきた思い出の道を───────────!!!





『あ、これが今度の衣装なんだ』
『風芽丘学園制服だってー』
『28種類もあるから同じ衣装には見えんなぁ』
『じゃあ、色々着てみようか?皆で似合いそうなのを選ぼう』
『フェイトちゃん、これなんかどうかな?』
『なのはちゃんは美由希さんと同じの着てみたらどうやろ?』
『あー、三人とも。今度のステージの衣装なんだ』
『え………?』
『へ?』
『は?』
『が、もーきてる、みたい、だ、な…………』
『『『きゃあああああああああああああああああああああっ!?』』』





「ってなんだこの思い出はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 僕の思い出したくない出来事ワースト3に入る出来事なんですが!?

「フェイトちゃん!はやてちゃん!全力全開だよ!!」
「はやて!まだ頑張れる!?」
「もちろんや!!」
「って、君達もなんでそれでやる気取り戻してるの!?」
「乙女心は複雑なのだよ。……いいな、気に入ってしまったよ、私は」

 初老の審査員がなにかときめいていた。






「はい、お疲れ様ー。オーディション合格おめでとうー」
「なんか非常に不本意な形でしたが……」

 その後、なんとか第三審査で巻き返し、三位で審査合格。事務所に戻ると社長が紙吹雪を散らして出迎えてくれたが、僕は憮然として対応する他なかった。

「それじゃお待ちかねのリリカルランク報告よっ!」

 リリカルヒロインズ
 ファン人数 30万0012人 リリカルランクUP C

「ランクアップおめでとう!でも、気を抜いて更新止めたりすると見捨てられるから気を抜かないようにね」

 いや、本当にすいません。

「ランクアップおめでとう。これで人気リリカル達の仲間入りだぞ。よく頑張った」

 だが、そんな僕の言葉に彼女達は首を横に振る。

「ううん、まだまだこれからだよクロノ君」
「もっともっと頑張って上を目指さないと」
「だから、これからもよろしくな」
「あ、はやてちゃん、ずるい!それ私も言いたかったのに!」
「抜け駆け禁止って言ったよね!」
「……君達、事務所で騒がないように。それと疲れているだろうから早く帰って休みなさい」

 そう言って三人を帰した後、僕は今日の最後の仕事にファンからの送り物を確認する事にした。

「ファンレターが多いな。確認してみよう」

 ・三人の歌っている姿に励まされます!!
 ・リリカルヒロインズは心の支えです!
 ・なのはさんの挫けない姿勢を見ていると頑張ろうと思えます。
 ・フェイトちゃん、ファイト!
 ・はやては癒される
 ・リリカルヒロインズ最高ーーーー!!
 ・リーヴォ!リーヴォ!

 何か、別の所に向けられた声援が交じっていたが全てが彼女達を応援するものだった。
 ………彼女達を見て、頑張れると思い、先に進もうとする人達がいる。そんな人達が多くいてくれたら、世界は少しだけでもいい方向に進むのではないか。そう思わせる何かが彼女達にはある。
 だから、僕は彼女達の歌が多くの人達に届くよう、努力したいと思うのだ。

「これで、また彼女達の声が広く響くようになる………」

 背もたれに深く寄りかかる。僕の方も少し疲れが出たようだ。

「だけど、彼女達の言うとおりだ」

 まだまだ、彼女達の歌を多くの人に届けたい。
 そのために、また明日を頑張るために。
 僕は彼女達の歌を思い出しながら、一時の眠りにつくのだった。










 おまけ

「はーい、皆さん。時空管理局プロダクション社長のリンディ=ハラオウンです。我が時空管理局プロダクションでは随時プロデューサーを募集中よ。もし、プロデューサーになった暁には彼女たちをプロデュースする事が可能よっ」





 ユニット名 アダルトヴォルケンズ
 メンバー シグナム シャマル
 水と炎の宴!!
 リリカルの中でもスタイルトップグループに属しているヴォルケンリッター年長者コンビユニット!凛としたシグナムとおっとりしたシャマルの二人の魅力で男女問わず幅広いファン層獲得間違いなしのデュオです!!



 ユニット名 ヤングヴォルケンズ
 メンバー ヴィータ リインフォースU
 漲る若さ!!
 外見は幼くともリリカル随一のパワーキャラのヴィータと生まれたてのエネルギーを放つリインフォースUのヴォルケンリッター年少者コンビユニット!!そのパワフルな歌声で君の心をぶち抜くぞ!!



 ユニット名 バーニングムーン
 メンバー アリサ すずか
 お嬢様はリリカル!!
 異なる属性を持つ親友同士のお嬢様ユニット!!二人の潜在能力もさる事ながら気の強いアリサが大人しいすずかを引っ張り、すずかはブレーキ役となり突っ走りそうになるアリサを抑える、意外とバランスの取れたデュオです。



 ユニット名 オリジナルヒロインズ
 メンバー 美由希 忍 ノエル
 サウンドステージの系譜は我らにあり!!
 原作ヒロインで姿を残している元祖ヒロインユニット!!今ここにステージの先駆者達が原作の意地を見せる!!歴史の深さを物語る豊富な原作ソングの曲の多さも見逃せないぞ!!



 ユニット名 ツインフォース
 メンバー リインフォースT リインフォースU
 祝福の風の協奏曲!!
 もしかしたら有り得たかも知れない未来、今はステージでしか見れない新旧リインフォースコンビユニット!!古き歴史を知る風と新しき生命の風の織り成す歌声は今ここに存在と言うものの意味を問う!!
 そして彼女達が纏う衣装は………ブルマ?すまない、何を言っているのか私には(以下略)。


 ユニット名 NANO
 メンバー ???
 リリカルマジカルテクニカル!!
 全てが謎に包まれた謎のヒロインユニット!!悪魔に対し、天使と称される性格に何か昔を思い出させるノース都サウスな歌声。
 ハートはいつも究極無敵!素敵に無敵 この魔法!
 全ての始まりがお供の子狐を連れて、リリカルに参戦だ!!







「と、色々なリリカルとその数だけ様々なユニットを組む事が可能よ。なにかティンと来たあなた。時空管理局プロダクションはいつでもあなたをお待ちしているわよー♪」




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