リリカルなのは SS

                      リリカルクエスト

「起きなさい、私の可愛いクロノ」

 普段なら絶対に言わないような母の言葉にクロノは目を覚ました。横を見ると、RPGの町人みたいな服を来たリンディがいた。
 クロノは目を逸らすように寝返りをうって目を閉じた。

「狸寝入りはやめなさいっ」

 布団ごとひっくり返されてクロノは大きな音を立てて床に落ちた。痛みに顔をしかめながら、クロノは今回のSSを渋々受けいれて立ち上がった。

「今日はあなたの十六歳の誕生日。あなたは王宮に行かなくてはいけません」

 クロノは手足を曲げたり伸ばしたりしながら自分を見回す。

「その割には体格がそのままなんですが」
「身体は十五、年齢は十六という設定よ」
「殆ど差が無いじゃないですか!そうする意味は!?」
「そんな事はいいから早く王宮に向かいなさい。王様がお待ちよ」

 自分の体格をそんな事で片付けられ、クロノはとぼとぼと王宮に向かった。







 クロノはどっかで見たことのある門番に案内されて玉座へと辿り着いた。

「どっかで見たじゃないですよ!」
「俺達ですよ!ランディとアレックスですよ!」

 と言っていたが、大した事じゃないので気にしないことにする。この時点でクロノは既にかなりげんなりしていた。

「よく来たな、勇者クロノよ」

 玉座には煌びやかな衣装と王冠を纏った恩師グレアムの姿があった。

「あなたですか」
「不満かね?」
「いえ、思ったより適任だったので安心しただけです」
「では、よろしい。さっそく用件を言おう。勇者クロノよ、魔王プレシアを倒しに行くのだ」
「はい」

 どうせいいえと言ってもはいと言うまで話を繰り返されるのだ。そんなことで行は使えないのでクロノはさっさと頷いた。

「それではこれを受け取るが良い。旅の手助けになるだろう」

 グレアムの言葉に左右にいた大臣リーゼアリアとリーゼロッテが歩み寄ってくる。二人はクロノの目の前に宝箱を置いた。
 クロノは宝箱を調べた。

『宝箱にはなんとネコミミ+シッポ+首輪セット×4が入って』

 バタンとクロノは宝箱を閉じた。

「あ〜!何してるのよ、せっかくあげるって言ってるのに〜!」
「変なものを寄越すな!というか×4ってどういうことだ!なんで僕の分まで用意されているんだ!!」

 この話は四人パーティーのお話である。

「まぁまぁ。そんな事言わずに受け取りなさいな。売れば黄金○爪より高く売れるから。限定店のみでだけど」
「如何わしい上に、序盤のゲームバランスを崩すなああああああああ!!!」

 結局、クロノは受け取るのを辞退した。

「ではクロノよ。旅の仲間を集めに行くがよい」

 そう言って、グレアムは旅に出る前からHPが瀕死時の色になっているクロノを送り出した。








「ここは翠屋。出会いと別れの喫茶店よ」
「割とノリノリですね桃子さん」

 かなりテンションに差のある二人が向かい合う。グレアムに言われて向かったのは様々な職業の人間が集う喫茶店『翠屋』だった。
 どんな連中がいるのか。クロノが店内を見回す。

「そ、それではこちらがケーキと紅茶のセットになります」
「ヴィータちゃん!お店の食べ物に手を出しちゃいけません!」
「いいじゃんよー、ちょっとくらいー」

 ヴォルケンリッターがウェイトレスをさせられていた。そういやザフィーラは表で番犬をやらされていたな。子犬モードで客寄せも兼ねながら。

「人を遊ばせておくわけにはいかないもの」
「とんでもないですね、あなたは」
「それでクロノ君、どんなお仲間がいいのかな?」

 クロノの言葉をさらっと流し、桃子がリストを手渡す。クロノは受け取ったリストを吟味し、合理的な思考の元、三人の仲間を選び出した。

「それじゃ、三人とも。クロノ君のご指名よー」
「如何わしい言い方はやめてください!!!」








 クロノが選んだ三人の仲間が整列する。

「よろしくね、クロノ君」

 魔法使いなのは。

「頑張ろうね、クロノ」

 戦士フェイト。

「クロノ君、頑張ろか」

 賢者はやて。
 以上三名である。

「やっぱりな!!やると思ったよ、このエロノ!!!」

 その面子を見て僧侶ユーノが吼えた。

「攻撃と防御のバランスを考えてのことだ。他意はない」
「なくても非難されるべきなんだよ、この場合!!」

 訳のわからないことを言うユーノは放っておいて、クロノは三人と向かい合う。

「では、これからよろしく頼む」
「「「はいっ」」」

 こうして、勇者クロノと三人の少女の旅が始まった。








1 彼女の作戦

『スライムが現れた!!』

「皆、大した相手じゃない。ここは余裕を持っ」
「スターライトブレイカー!!!!」
「ってえええええええ!?」

 爆散するスライム。塵一つ残らなかった。

『なのはの作戦 全力全開』

「せめて、みんながんばれくらいにしてくれ……」

 クロノの最初の旅の難関はなのはに作戦を変えさせる事から始まった。







2 その理由

「ところではやて。なんで最初から賢者なんだ?」

 本来なら賢者はとある塔にとある本を取ってきてとある神殿で転職を願い出なくてはいけない。

「この夜天の書が、生まれてすぐの頃から私のもとにあったからや。起動したのは九歳の誕生日」

 原作設定によるご都合主義だった。

「ちなみに特技・召喚で守護騎士を一人、ランダムで呼べるで」
「それってほとんど五人パーティーじゃないか!?」

 ちなみに移植版にも特技・召喚はありませんが悪しからず。







3 並び順

 パーティーの先頭を行く者は戦闘において一番攻撃を受けやすい。なので戦士で耐久力のあるフェイトが先頭に立つ事になったのだが。

「ねえ、クロノ」
「なんだ、フェイト」
「私、なのはとはやてと同じ歳の女の子なのに戦士なんて体力馬鹿みたいだよね……」
「…………え?」
「しょうがないよね、この面子では一番職業が当てはめにくかったんだもん。素早いからって武道家じゃ違和感があるし。一応Vベースのお話だからYの魔法戦士でも違和感あるし。こうなるのもしょうがないよね」
「あ、あのフェイト」
「大丈夫、クロノは私が守るから。傷ついても守るから」

 なんだか自虐的な笑いを浮かべるフェイト。
 結局、パーティーの先頭にはクロノが立つ事になった。







4 序盤の苦労とゲームでは出来ません

「あっ!?……くっ!」
「なのは!?」

 敵の攻撃でなのはが毒を受けた。クロノ達は急いで戦闘を終わらせた。

「はやて!キアリーを!」
「あ、あかん。今の戦闘でMPが切れてしもうた……」
「フェイト!毒消し草は!」
「だめ、持ってきてない……」

 そうしているうちになのはのHPは少しずつ削られていく。

「くっ、しょうがない。すこしでも毒を取り除かないと!」

 クロノがなのはの傷口に口を当てた。

「「あっ!?」」
「く、くろ…の……君?」

 驚くフェイトとはやて、戸惑うなのはに構わずクロノは傷口を強く吸った。

「あっ!?……く、くろのくっ、い、いいよ、そ、んなっ………!」

 クロノは取り合わず、さらに傷口を吸う。

「あ、あ、あ……、ん、んぁ、………あっ!」

 なのはが苦しそうなのは毒のせいです。誤解なきよう。

「はっ…、…んっ、はぁ、……あっ!」

 また傷口がどこなのかは各人の想像にお任せます。ナニを想像されようと当SSは責任を取れませんので、ご了承ください。
 とりあえず、クロノの治療のおかげでなのはは無事に町に辿り着いたが、それからしばらくパーティーの間の空気はぎこちなかった。







5 そして死亡フラグへ

「うわっ!?」
「クロノ君!?」

 クロノが敵の攻撃で毒になった。なのは達は急いで戦闘を終わらせた。

「や、やってしもうた。また毒消し草もMPもない!」
「クロノ!しっかりして!」
「う、うう……」
「そうだ!この間、クロノ君がしてくれたことを……」
「待って!それは私が!!」
「いや、私がやるで!!」
「え?で、でも、この間、私クロノ君にしてもらったし……」
「気にしないでなのは!妹の私が責任を持ってやるから!!」
「いや、MP管理を怠った私が責任を取る!」

 ギャーギャーと言い合いながら平行線を辿る三人の会話。

「きみたちー……、だれでも、いいから、はや………く…………」








「おおクロノよ!死んでしまうとは情け無い!!」

 そう言われたクロノは思い切り納得のいかない顔をした。








6 これからの旅路

 様々な出会い。

「僕は喋るフェレット、ユーノ」
「君、僧侶じゃなかったのか?」





 立ちふさがる強敵。

「こいつが………やまたのイタチ!!」





 繰り返される代役。

「「六つのオーブを集めて八番艦アースラを復活させてください」」
「君達、大臣やっていただろう!?」





 手にするは最強の杖。

「受け取るがいい。これが勇者のみが装備できる最強のストレージデバイス『デュランダル』だ。代金は35000G」
「では、買います」
「………ツッコミはないのか?」
「もう三度目なので」





 つかの間の再会。

「私には……君くらいの息子がいるんだ…………」





 待ち受ける真の黒幕。

「私が大魔王アリシアだよっ」






 ドキッ!少女だらけのベストドレッサー、ポロリ(以下略)。

「ク、クロノ君。ほ、本当にやらなきゃ……ダメ?」
「ああ。あのアイテムを手に入れるにはベストドレッサーで受賞するしかない」
「で、でもこの格好は……」

 恥ずかしそうにするなのはが装備しているのは『神秘のビキニ』。サイズがあっていないのか、しきりに胸の辺りを気にして手で押さえている。幼い肢体のなのはが装備するのは犯罪ど真ん中だった。

「そ、それにこのイベントってYのイベントじゃ……」

 なのはと共に抗議の声を上げるフェイトが装備しているのは『踊り子の服』。下半身を覆う部分の少なさから、心許なさそうに足をモジモジさせている。もし、こんな子を踊らせて客を呼んでいたら営業停止どころか数百年を超える幽閉は免れないだろう。

「そ、そうや。一応Vベースやしまずいと思うで」

 それを後押しするはやての装備は『バニースーツ+うさ耳バンド+網タイツ』というどこからどう見てもバニーガールの格好だ。二人に比べれば布面積が多いが恥ずかしいものは恥ずかしい。また、胸を強調しているこの格好は二次成長を迎えていないはやてには別の意味でも恥ずかしかった。

「Vベース?Yのイベント?何の話なんだ?わかっているのはベストドレッサーというイベントがあり、そこで手に入るアイテムは冒険にかかせないもので、僕ではいい装備が無くて受賞することが出来ないから君達に全てを託すしかないということだ。むしろ、受賞確実な『エッチな下着』を選ばなかっただけでも良心的だと思うのだが」

 彼の瞳に一転の迷いも曇りもない。何故なら彼には一切の下心はない。これまでの旅の心労でかなりテンパっているせいでもある。だからこそなのは達は強く出られない。どうでもいいけどこんな部分だけ書いていると全く健全なゲームに見えないなぁ、ド○クエ。

「さあ、行こう!君たちの戦場へ!!」





 リリカルクエスト そしてハーレムへ
 その結末は───────────────





『冒険の書を記録しますか?』



 →しないので続かない。






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